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2.探し物
 
 
 
「陽の落ちた頃、人気のない町はずれで、道にしゃがみ込んで何かを探す女性を見かけたんです。その日は雨は降っていなかったのに、彼女は何故か傘を差していました」
 
「小銭か」
 
「何か大切な物を失くしたように見えて、何を探しているのか尋ねてみたのですが」
 
「リカちゃん、よくお人好しって言われるだろ」
 
「…彼女はこちらを振り返り、答えました。
 『わたしの首が、無いの』と」
 
「………ベタな幽霊もいたもんだな…」
 
「それは大変だと思い、私は彼女の手を引いて首を捜しに…」
 
「見上げたジェントルマン精神だな!? そこは素直に驚いてやれよ!」
 
「ところが何故か、彼女は慌てたように『そういえば家に忘れてきたみたい』と言って去ってしまいまして」
 
「なぁお前、それはギャグなの本気なの!?」
 
「……………冗談ですよ。当然でしょう?」
 
「いや…慣れない冗談言って恥ずかしがるくらいなら最初からやめとけよ…。てかいい年した男が顔赤くしてんじゃねえよ。余計暑苦しい…」
 
 涼むどころか、蒸し暑さが増したように感じて、男は呻いた。
 
 そして「…そうか、あれは驚いて欲しかったのか」というリカルドの呟きを聞いて、男は心底、怪談の語り手を誤ったということを痛感したのだった。
 
 
 

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