景色のいい場所

「いい景色だなあ」
とにかく遠くを見つめながら剣士が呟く。
「景色というか・・こう見晴らしがなあ」
同じくとにかく遠くを見つめながら術師が返事をする。
数時間同じ会話を繰り返している二人はそろそろ諦めを覚え始めていた。
「正直に言えよ?お前の地図本当は太古の遺産みたいなもんなんだろ?」
「言いがかりはやめてもらおうか、由緒正しいれっきとした年代物の」
「誰が宝の地図持ってこいっていったよ!お前は何時の時代の旅をするつもりだ?」

地図を取り出した剣士とその地図の古さに気付けなかった術師、 二人もう一度遠くを見てまた同じ会話を始めた。

「いい景色だなあ」
「景色というかこう・・見晴らしがなあ」



結局その後1刻その場に立ち尽くした二人は、 ようやくたった5段の高さだけ「景色のいい場所」から降りると、 諦めてその段他には何もない廃墟の街を後にした。





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