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旅の仲間

見る限り真っ赤な土が広がる荒野にたった1本の道路を
電飾が散りばめられた4tトラックが猛スピードで走行中だ。
左には大きめに作られたハンドル片手に鼻歌を歌う転職の多い男。
右には私心の為に神をも使う袈裟男がつまらなそうに景色を眺めている。
確か、昨夜まで故障車の荷台の中で寝ていたはずが目覚めると二人の間に座らされている。


術「…何故お前らが此処にいるんだ?」

剣「走り屋になってみたかったんだ。
  せっかくだから一番派手なヤツに乗ってみた。」


格好良いだろう?と満足気に言われても窓に付いてヒラヒラ揺れる修理中の張り紙は不安を掻き立てられてならない。
いや、まずどうして俺は荷台から運転席の真ん中に座らされているのか…?


僧「荷物を運び入れるのに少し邪魔だったのですよ。
  あ、気にしないでください。
  荷物を運び終えたらまた元の位置に戻しておきますから。」

もう3日も荷台に寝ているので気に入っている思ったらしい・・・
用が済んだら全てを被せて逃げる魂胆がバレバレだ。隠していないだけだろうが。・・・ん?


術「荷物だと?」

僧「あなたの荷物と近所の大きな家から頂いた光り物ですが
  何か?」

術「あぁ、そういう事か。この車は…?」

剣「気にするな。拾ったんだ。」

術「知ってるか?お前らの『貰った、拾った』というのは
  『奪った、盗んだ』というんだ、覚えとけ。」

精一杯の怒りを込めて言うが「それが何か?」というような顔が返ってくる?
あー、なんだか馬鹿らしくなってきた。


術「いや、もういい。
  どこでもいいから降ろして荷物を返してくれ。」

剣「無理だ。」

術「何でだよ…!!」

剣「決まっているだろう。
  走り屋は止まらないから走り屋なんだ。」

僧「そういえばさっきから目障りな故障中の張り紙ですが、
  何処が故障してるのでしょうね?」

剣「知らん。進めればいいだろう。」

術「止まれなきゃ意味無いだろう!
  どっか踏めば普通は止まるだろう?」

剣「あぁ、そういや足元にある真ん中のデカイボタンが
  踏んでも踏んでも何にも起こんないんだ。」

つまらなそうな顔で愚痴る。そんなもの知ったものか!
右隣を見ると腹を抱えて笑っている、
何がそんなに可笑しいんだか。

僧「故障原因は、ブレーキがきかなくなったからでしょうね。」

必死に笑いを堪えながら話し出す。

僧「私達はこれからエンジンが切れるまで仲良くドライブってとこですかね。」


とてつもなく嫌な状況に吐き気がする。
今なら昨晩、腹に入れた酒と肉が出せそうだ。


術「エンジンはあとどれ位で切れるんだ?」

剣「さあな、用心の為に満タンにしておいたからな。
  その間に僧侶が大きな荷物を勝手に積んでお前を放り出した
  んでつい運転席に積んでみた。」

術「・・・・・。」


青い顔していたせいかこれに吐いてくださいと笑顔で見覚えのある空の水筒を渡される。

術「俺の水筒だな…酒が入ってたはずだが?」

剣「あのワインは旨かった。」

術「お前かぁぁーー!!」



必死に張り上げた声も猛スピードで駆け抜けるトラックのおかげで故障中の張り紙と共に舞う。

僧「真っ赤な荒野に白い紙…綺麗ですね。」
目を細めて呟く。口喧嘩を始めた二人にはもう聞こえていない。

真昼間だというのにキラキラ光るトラックは3人を乗せて
行く当ての無いまま突き進む。
取りあえずの目標は国境線だ。


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